子どもが出っ歯のままだとどんなリスクがある?治療法も

歯のコラム 2025年06月11日(水)

こんにちは。千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」です。

出っ歯で悩んでいる子ども

お子さまが出っ歯になっていて不安を感じたことはありませんか。出っ歯は、見た目の問題だけと思われがちですが、実は放っておくと多くの影響が出ることがあります。出っ歯は成長過程で改善される場合もありますが、適切なタイミングで治療を受けることが重要です。

そこで本記事では、子どもの出っ歯を放置するリスクや原因、具体的な治療方法などについて解説します。子どもの出っ歯にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

出っ歯とは

出っ歯のイメージ

出っ歯とは、上の前歯が通常よりも前方に突き出している状態の歯並びを指します。歯科用語では上顎前突と呼ばれており、日本人に多く見られる不正咬合のひとつです。

正常な歯並びは、上の前歯が下の前歯よりも2〜3mm程度前に位置しているのが理想的とされています。この距離が4mm以上あると出っ歯と診断されます。出っ歯は、見た目だけでなく、機能面でも大きな影響を与えるため、心配される保護者の方も多いでしょう。

出っ歯には大きく分けて2つのタイプが存在しています。1つ目は歯槽性上顎前突と呼ばれるもので、骨格に問題はなく、歯の位置や角度に異常があるケースです。2つ目は骨格性上顎前突で、上あごの骨が発達しすぎている、または下あごの発育が不十分な場合に起こります。

お子さまの出っ歯がどちらのタイプに該当するかによって、治療方法が異なります。軽度な歯槽性上顎前突は治療しやすいケースが多く、あごの成長を利用した矯正治療で改善が期待できるでしょう。

一方、骨格性上顎前突では、より専門的な治療が必要になることも少なくありません。早期発見と適切な診断が必要になるため、出っ歯が気になったら速やかに歯科医院を受診して相談しましょう。

子どもが出っ歯になる原因

子どもが出っ歯になる原因の指しゃぶり

お子さまが出っ歯になる原因には、大きく分けて先天的要因と後天的要因の2つがあります。それぞれ詳しく解説します。

遺伝的要因

両親や祖父母などが出っ歯である場合、お子さまにも同様の症状が現れる可能性が高くなります。あごの骨格や歯の大きさなどは遺伝することがあるのです。

ただし、遺伝的要因があったとしても、適切な時期に治療を開始することで症状の改善は十分に期待できるでしょう。

後天的要因

後天的要因は、以下のとおりです。

日常的な癖や習慣

後天的要因のなかでも特に影響が大きいのが、日常生活における様々な癖や習慣です。指しゃぶりは代表的な例で、長期間続けると上の前歯が前方に押し出されます。一般的に3歳頃までの指しゃぶりは自然な行動とされていますが、それ以降も継続している場合は注意が必要です。

また、おしゃぶりの使用も出っ歯の原因となることがあります。2歳を過ぎてもおしゃぶりに依存している場合は、少しずつ使用を控えたほうがよいでしょう。爪噛みや唇を噛む癖、舌で前歯を押す癖なども出っ歯の原因となります。

食生活によるあごの発育不足

食生活が原因で出っ歯になることもあります。しっかり食べ物を噛むことであごの成長が促進されます。

しかし、柔らかい食べ物が中心の食事では、あごが十分に発達しません。これによって、下顎が十分に成長しないと、出っ歯になることがあるのです。食べ物をしっかりと噛むことで、あごの正常な発育が促進されるため、食事内容を見直すことも重要です。

出っ歯のまま放置するリスク

出っ歯のまま放置するリスクイメージ

出っ歯を放置すると見た目以外にもさまざまなリスクがあります。以下に、出っ歯を放置するリスクについて解説します。

口腔機能が低下する可能性がある

出っ歯を放置すると口腔機能が低下する可能性があります。出っ歯の場合、上の前歯と下の前歯がうまく噛み合わず、食べ物をうまく噛み切れなくなります。食べ物を十分に噛まずに飲み込むと消化器官に負担がかかるでしょう。栄養の吸収効率も悪化する可能性があります。

また、唇を閉じることが難しくなり、常に口が半開きの状態になりがちです。これによって、口の中が乾燥すると、細菌が繁殖して、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。口臭の原因にもなるでしょう。

前歯を損傷するリスクがある

出っ歯の場合、転倒や衝突時に前歯を損傷するリスクがあります。特に、子どもの場合は、走って転ぶことが多いです。このときに、前歯が欠けたり唇を切ったりすることもあるでしょう。

心理的な影響を与える

見た目の問題はコンプレックスにつながり、子どもの心理発達に深刻な影響を与える可能性があります。出っ歯が原因で笑顔に自信を持てなくなったり、発音の問題から人前で話すことを避けたりするようになる子どもも少なくありません。

子どもの出っ歯を治す方法

子どもの出っ歯を治す矯正装置

子どもの出っ歯を治す方法として矯正治療が挙げられます。子どもの矯正治療には大きく一期治療と二期治療があり治療目的が異なります。以下に、子どもの出っ歯を治す一期治療と二期治療について解説します。

一期治療

一期治療とは、主に6歳〜12歳ごろの乳歯と永久歯が混在する時期におこなわれる治療です。あごの成長が活発なこの時期に治療をおこなうことで、歯並びや噛み合わせに影響を与える骨格的な問題を改善することができます。

一期治療では、拡大装置や機能的矯正装置といった取り外し可能な装置を使い、あごの成長をコントロールします。これによって、永久歯が正しい位置に生えやすくなり、重度な出っ歯を未然に防ぐことができます。

治療の目的は適切な成長を導くことであり、永久歯が生え揃う前の時期に取り組むことで、将来的な矯正治療の負担を軽減できる可能性があります。

二期治療

二期治療は、永久歯が生え揃う12歳前後から開始される治療です。主にブラケットやマウスピース型矯正装置を使って、歯1本1本の位置を整え、理想的な歯並び・噛み合わせを目指します。二期治療によって審美面と機能面の両方を改善できます。

二期治療では、すでにあごの成長がある程度落ち着いているため、歯の位置を動かすことが中心になります。一期治療をおこなっている場合は、短期間で治療を終えられるケースもあります。

何歳から出っ歯矯正は受けられる?

出っ歯矯正は何歳から受けられるのか考える子ども

子どもの出っ歯治療は、一般的に6歳頃から開始可能とされています。この時期は第一大臼歯が生え始める時期で、永久歯への生え変わりが本格化する重要な段階です。早期に治療を開始することで、あごの成長を利用して矯正を進められます。

3~6歳の乳歯列期においても、出っ歯の傾向がみられる場合には、予防的な治療をおこなうことがあります。この段階での治療は、主に歯並びに影響を及ぼす悪習癖の改善やあごの成長の誘導を目的としており、将来的な本格的矯正治療の負担を軽減する効果が期待できるでしょう。

子どもが出っ歯になるのを防ぐためには

出っ歯になるのを防ぐために歯科検診に通う子ども

子どもが出っ歯になるのを防ぐためにはどのような点に気をつければいいのでしょうか。ここでは、出っ歯になるのを防ぐ方法について解説します。

指しゃぶりなど悪習癖を改善する

子どもが出っ歯になるのを予防するためには、指しゃぶりなどの悪習癖を改善することが重要です。

指しゃぶりは2~3歳頃までは正常な発達過程の一部ですが、4歳を過ぎても続く場合には注意が必要です。無理にやめさせようとすると逆効果になることもあるため、まずは指しゃぶりをする背景を理解することが大切でしょう。

代替行動として手遊びや抱っこなどのスキンシップを増やすと効果的です。

口呼吸を改善する

口呼吸が習慣化すると、口の周りの筋肉のバランスが崩れ、出っ歯になるリスクが高まります。なかには、鼻づまりが原因で口呼吸が習慣になっているケースもあるでしょう。その場合には、耳鼻咽喉科を受診して、根本的な原因を解決する必要があります。

食生活を見直す

現代はやわらかい食べ物が主流になり、食生活の変化によるあごの発育不全が問題となっています。

やわらかい食べ物ばかりを摂取していると、咀嚼筋の発達が不十分になり、顎骨の成長にも悪影響を及ぼします。そのため、硬めの食材を意識的に取り入れて、咀嚼回数を増やすことが大切です。咀嚼することで、あごの健全な発育を促進できるでしょう。

ただし、あまりに硬すぎる食べ物は歯やあごに負担をかける可能性があるため、年齢に応じた適切な硬さの食材を選択することが大切です。早食いを避け、ゆっくりと時間をかけて食事をする習慣を身につけましょう。

定期検診に通う

出っ歯を予防するためには、定期的に歯科検診を受けることも大切です。3~4か月に1回の頻度で検診を受けることで、歯列の変化や悪習癖の兆候を早期に発見できます。検診では、歯の生え方だけでなく、口腔周囲筋の状態や舌の位置、咬合の状態などを総合的にチェックします。

万が一、問題が発見された場合には、適切なタイミングで予防的な処置や指導をおこないます。これによって、将来的な大掛かりな矯正治療を避けられる可能性が高まるでしょう。

口腔機能訓練をおこなう

正しい舌の位置や飲み込み方を身につけるための口腔機能訓練をおこなうことも、出っ歯予防に効果的です。

舌が常に正しい位置にあることで、上あごの正常な発育が促進され、歯列の乱れを防ぐことができます。また、あいうべ体操などのトレーニングを日常的におこなうことで、口の周りの筋肉を鍛えることが可能です。これらの訓練を継続することで、大きな効果が期待できるでしょう。

まとめ

矯正治療をして歯列を整える子ども

子どもの出っ歯は、見た目だけでなく噛み合わせや発音、外傷のリスクなどさまざまな問題を引き起こす可能性があります。原因は遺伝だけでなく、指しゃぶりや口呼吸といった生活習慣にも深く関係しています。

出っ歯が気になる場合は、歯科医院を受診して相談すると良いでしょう。

小児矯正を検討されている方は、千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。

当院は、インプラント治療やマウスピース矯正(インビザライン)、小児歯科、ホワイトニングなど、さまざまな治療に力を入れています。ホームページはこちらWeb診療予約も受け付けておりますので、ぜひご覧ください。