Blog ワイヤー矯正の種類と特徴|歯並びを改善するための効果的な方法
ワイヤー矯正と聞くと、「金属部分が目立つので嫌だな」とマイナスイメージがあるかもしれません。
しかし、ワイヤー矯正は幅広い症例に適した治療法であるうえ、他の矯正治療よりも比較的治療期間が短く、費用も安いのがメリットです。また、歯の色に近い装置を選べば、見た目も気にならないでしょう。
この記事では、ワイヤー矯正の種類や特徴について解説します。メリット・デメリットについても言及していますので、矯正治療を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正とは、歯に直接ブラケットをつけ、そこにワイヤーを通して歯並びを整える矯正治療です。矯正治療の中では最も歴史があるため、治療実績が豊富で、幅広い症例に対応できるのが特徴です。
ワイヤー矯正で歯が動く仕組み
ワイヤー矯正で歯が動く仕組みは、以下のとおりです。
1.歯にブラケットやワイヤーを取り付け、歯を動かしたい方向に力をくわえる
2.歯が動く方向の歯根膜が収縮、反対側の歯根膜は引っ張られる
3.収縮された側の骨が溶ける
4.骨が溶けてできた隙間に歯が移動する
5.新たに骨が作られ、歯が安定する
歯の周りには歯根膜という薄い膜があり、歯と骨との間のクッションの役割をしています。私たちは歯根膜があることで、硬いものや軟らかいものの噛み心地を感じているのです。
ワイヤー矯正によって持続的に歯に力をくわえることで、歯根膜の厚さに変化を生じさせます。歯根膜には一定の厚さを保とうとする性質があるので、元の厚さに戻ろうと、縮んだ側は骨を溶かし、伸びた側は骨を作ります。ワイヤー矯正を含めた矯正治療では、歯根膜を収縮させ、骨が溶けては作られる仕組みを利用して歯を動かしているのです。
個人差はあるものの、ワイヤー矯正で動かせる歯の距離は1ヵ月で最大0.5mmといわれています。ワイヤーにかける力を大きくすれば歯が早く動くと思われがちですが、痛みが強くでたり歯茎が下がったりと、歯へのダメージが大きくなる原因になります。そのため、矯正治療に時間がかかるのは、歯に適切な力をくわえ、安全に治療をすすめるためだといえるでしょう。
ワイヤー矯正のメリット・デメリット
ここでは、ワイヤー矯正のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
メリット
ワイヤー矯正のメリットは、以下の3点です。
①幅広い症例に対応できる
ワイヤー矯正は、歯科医院だけでなく大学病院でも治療されているため、治療実績が豊富な矯正治療です。そのため、どんな歯並びにも対応できるうえ、抜歯が必要なケースや外科処置が必要なケースなどの難しい症例にも対応できます。
②微調整ができる
ワイヤー矯正やマウスピース矯正など、どのような矯正治療でも精密検査をもとに治療計画を立てます。
しかし、実際治療を始めてみると、治療計画通りには歯が動かないことがあります。特に、治療の仕上げの段階では「左側の噛み合わせが強く当たる」「前歯の向きが気になる」など、微調整が必要になることは少なくありません。マウスピース矯正の場合、一括でマウスピースを作成するため、微調整が必要になるとマウスピースを追加で作成したり部分的にワイヤー矯正を併用したりと、追加で費用がかかることがあります。
その点、ワイヤー矯正は歯の動きを確かめながら治療をすすめていくため、患者様の希望に応じた微調整がしやすいといえるでしょう。
③治療期間が比較的短い
ワイヤー矯正は、マウスピース矯正に比べると比較的治療期間が短いといえます。治療期間が短い理由は、固定式の装置であるため常に歯に力をかけ続けられることと、マウスピース矯正に比べると矯正力が強いためです。
また、ワイヤー矯正の装置にはさまざまな種類があり、装置によっては治療期間を短縮できるものもあります。例えば、セルフライゲーションブラケットという種類のブラケットです。この装置は、他の矯正装置に比べて効率的に歯を動かせるため、治療期間を短縮できます。
ただし、矯正治療の期間については、もともとの歯並びや症例によって異なります。症例によっては、マウスピース矯正のほうが治療期間が短い場合もあるため注意が必要です。
実際の治療期間がどのくらいかかるかは歯科医師の判断を仰ぎましょう。ワイヤー矯正やマウスピース矯正について詳しく知りたい方は、一度矯正歯科を受診してみることをおすすめします。
デメリット
ワイヤー矯正のデメリットは、以下の3点です。
①目立ちやすい
ワイヤー矯正の最大のデメリットは、歯の表側にブラケットやワイヤーなど金属部分を接着するため目立ってしまうことです。
しかし、矯正装置や矯正方法によっては、目立たなくするのも可能です。見た目が気になる場合は、後述の裏側矯正や矯正装置の種類を参考にしてください。
②食事や歯磨きがしづらい
ワイヤー矯正は取り外しできる矯正装置ではないため、食事や歯磨きがしづらいデメリットがあります。特に、歯と歯の間や矯正装置の周りなどは、磨きづらいため注意が必要です。ワイヤー矯正の治療中は虫歯や歯周病のリスクが高くなるため、歯ブラシだけでなく細かい部分が磨きやすいタフトブラシを使って、できるだけ磨き残しがないように気をつけましょう。
③違和感や痛みが出やすい
ワイヤー矯正は、矯正装置をつけた直後やワイヤーの調整後などは強い力がかかるため、違和感や痛みが出やすいといえます。
しかし、1~2週間すれば徐々に症状は治まってきますので、装置になれるまでは様子をみるとよいでしょう。
ワイヤー矯正の種類
ワイヤー矯正には、表側矯正、裏側矯正、ハーフリンガル矯正の3種類あります。ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
①表側矯正
表側矯正とは、歯の表側に矯正装置をつけて歯並びを整える治療法です。ワイヤーの力が1本1本の歯に伝わりやすいため、ほかの方法よりも治療期間が短く、費用が抑えられるのがメリットです。また、歯の表面に装置を固定するので、しゃべりづらさはありません。
しかし、歯の表側に金属部分を固定するため、矯正装置が目立つのがデメリットです。そのため、見た目が気になる場合は歯の色に近い装置を選ぶとよいでしょう。
矯正装置の種類については、後述していますので参考にしてみてください。
②裏側矯正
裏側矯正とは、歯の裏側に矯正装置をつけて歯並びを整える治療法です。歯の裏側に矯正装置をつけるため、目立たないことが最大のメリットです。
表側矯正と比べるとブラケット間の距離が短いため、歯を内側に引っ込めるのは不得意といえます。また、表側矯正よりも装置がとれやすい特徴があるので、やや弱めの力で矯正しなければいけません。このことから、裏側矯正は、抜歯が必要なケースや歯を動かす距離が長いケースなどは、治療が長引いてしまうことがあります。また、表側矯正よりも費用が高くなること、歯の裏側に装置があることでしゃべりづらさや口内炎ができやすい、歯磨きがしづらいことなどがデメリットです。
③ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正とは、上の歯は表側矯正、下の歯は裏側矯正で歯並びを整える治療法です。2つの矯正法を併用するため、表側矯正だけで治療するよりも目立ちにくく、裏側矯正だけで治療するよりも費用が抑えられます。また、下の歯は表側矯正なので、舌に装置が当たらず、しゃべりづらさはないでしょう。
ただし、上の歯の裏側が歯磨きしづらいことと、症例によっては治療できないことがデメリットです。
矯正装置の種類
ワイヤー矯正の装置であるブラケットやワイヤーには、さまざまな種類があります。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
①メタルブラケット
メタルブラケットとは、一般的な金属のブラケットです。金属なので丈夫な素材ではあるものの、目立ちやすいのがデメリットです。
②プラスチックブラケット
プラスチックブラケットとは、プラスチックで作られた透明で目立ちにくいブラケットのことです。
しかし、プラスチックなので強度が低いため、他の装置よりも厚みがあります。また、変色しやすいのもデメリットです。
③ハイブリッドブラケット
ハイブリッドブラケットとは、プラスチックとセラミックでできたブラケットのことです。メタルブラケットよりも目立ちにくく、値段が手ごろなので人気のブラケットです。
④セラミックブラケット
セラミックブラケットとは、歯の色に馴染みやすい陶器素材のブラケットです。目立ちにくいうえ、汚れがつきにくく、変色しづらいという特徴があります。
ただし、耐久性が弱く、費用が高くなるのがデメリットです。
⑤ジルコニアブラケット
ジルコニアとは、セラミック素材の中で一番硬い素材です。ジルコニアを使用したブラケットは費用がかかるものの、耐久性があり、見た目も美しいのがメリットです。また、セラミックブラケットと同じく、汚れがつきにくく、変色しにくい特徴があります。
⑥セルフライゲーションブラケット
セルフライゲーションブラケットとは、ブラケット本体にクリップがついているブラケットのことです。
従来のブラケットでは、ワイヤーを通すときに強い摩擦がかかり、痛みが出やすいといえます。その点、クリップがついているセルフライゲーションブラケットは、ゴムや針金を使ってワイヤーを固定しなくてもよいので、従来のブラケットよりも弱い力で歯を動かせます。摩擦抵抗なく早く歯を動かせるので、治療期間の短縮や違和感や痛みが少ないといえるでしょう。
⑦ホワイトワイヤー
ホワイトワイヤーとは、歯の色に近い白色のワイヤーのことです。セラミックやジルコニアなどの目立ちにくいブラケットと一緒に使うことで、表側矯正でも目立ちにくくできるでしょう。
ワイヤー矯正の選択基準
ワイヤー矯正には、表側矯正、裏側矯正、ハーフリンガル矯正の3種類あります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、以下の基準で矯正方法を選ぶとよいでしょう。
・ガタガタした歯並びをしっかり治したい
・抜歯が必要な症例か
・治療費を抑えたい
・歯の動きを診ながらその都度調整したい
・見た目を気にするなら裏側矯正やハーフリンガル矯正
ワイヤー矯正以外の矯正方法には、マウスピース矯正があります。薄くて透明なマウスピースを使用するため、目立ちにくく、取り外しできるのがメリットです。
しかし、ワイヤー矯正よりも費用がかかり、治療できる症例に限りがあります。
一方、ワイヤー矯正はどんな歯並びにも対応できるため、マウスピース矯正では難しい重度の叢生(そうせい)や、抜歯が必要になるケースなどにも対応可能です。ガタガタした歯並びをしっかり治したい方や矯正治療にかかる費用をできるだけ抑えたい方にはワイヤー矯正が適しています。
特に見た目を気にされない場合は、どんな歯並びにも適応でき、比較的短期間で治療が終わる表側矯正がおすすめです。見た目が気になる場合は、費用が高くなるデメリットはあるものの、歯の裏側に矯正装置を固定する裏側矯正がよいでしょう。費用を抑えつつ見た目も気になる方は、2つの方法を併用したハーフリンガル矯正がおすすめです。
実際、どの矯正方法が適しているかは、患者様のお口の状態によって異なります。メリット・デメリットを理解し、納得したうえで矯正を始めるようにしましょう。
まとめ
ワイヤー矯正には、歯の表側に装置をつける表側矯正、歯の裏側に装置をつける裏側矯正、2つの方法を併用したハーフリンガル矯正の3種類があります。矯正装置はさまざまな種類があるため、見た目が気になる場合は歯の色に近い装置を選びましょう。
ワイヤー矯正はどんな歯並びにも対応でき、比較的治療期間が短いのがメリットです。
しかし、矯正装置が目立ったり、違和感や痛みが出やすかったりするデメリットもあります。
メリット・デメリットを理解し、納得したうえで矯正治療を始めるようにしましょう。実際、どの矯正装置が適しているかは、歯科医師の判断が必要です。
ワイヤー矯正を含めた矯正治療について詳しく知りたい方は、千葉県野田市にある歯医者「R歯科・矯正歯科クリニック」にお気軽にご相談ください。